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2014年5月1日(木)   ≪『四耐四不訣(したいしふけつ)』とは?≫

日経新聞の「私の履歴書」、トヨタ自動車を今日のグローバル企業に育て上げた豊田章一郎氏の最終章に素晴らしい格言が記載されていた。お読みになった方も多かろうが、不肖私経営者の端くれとして感じ入りその内容に付いて調べてみたのでご紹介しよう。その格言とは、清代末期の政治家.曾國藩(そうこくはん/写真をクリックしてください)が残した『四耐四不訣(したいしふけつ)』(又は四耐四不」)という言葉である。200px-Zeng_Guofan

 

「冷(れい)に耐え、苦に耐え、煩(はん)に耐え、閑(かん)に耐え、激(げき)せず、躁(さわ)がず、競(きそ)わず、随(したが)わず、もって大事を成すべし」 

    <解説>

◆冷に耐える 
冷は冷ややかな目を表し、冷たい仕打ちや誤解に耐えるなければならない。

◆苦に耐える 
文字通り苦しいことに耐えること。人は様々な苦を体験する。

◆煩に耐える 
忙しさや煩わしいことに耐えること。

◆閑に耐える 
暇な状態に耐えることだが、これがなかなか難しい。

◆激せず 
つまらないことで怒ってはいけない。

◆躁がず 
些細なことで騒いではいけない。

◆競わず 
競争してはいけない、自分のレベルで生きなさい。

◆随わず 
己の強さを信じ従ってはならない。


経営者であれば仕事のない時期をどう過ごすか、サラリーマンであれば煩に耐えての会社勤めを終え、年金生活に入ってどう過ごすか。 これらのことに耐え、つまらないことに腹を立てず、ものごとが上手く運んでも調子に乗らず、よけいな競争をせず、かといって何でも言いなりになってはいけない、という戒めだ。

言葉を変えれば、人間としての基本から離れず、生業を重んじ、隣人を愛し、怠慢利己を恥じて地道にやっていくことが大事であると説いているのだ。意味をよくよく噛みしめて行くと或る文章に行き当った。そう!宮沢賢治の「雨ニモマケズ」である。全文は下記の通りだが、これを綴るに当って、賢治もこの『四耐四不訣』という言葉を意識したのではないだろうか?

雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしはなりたい

若い時分にはとてもこのような悟りの境地は到達しようもない。しかしこの歳でも、今更ながら耐え忍ぶ強さを身につけ、困難にも毅然と立ち向かっていく本当の強さを身につけたいと思わせるだけの、けだし名言である。