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2016年6月9日(木)  ≪モハメド・アリ逝く≫

蝶のように舞い、蜂のように刺す (Float like a butterfly, sting like a bee)」と評されたモハメド・アリが74歳で逝った。鈍重な大男の力任せな殴り合いだったヘビー級ボクシングに、アリは蝶のように華麗なフットワークと、蜂のように鋭い左ジャブを活用するアウトボクシングを持ち込み、その後イベンダー・ホリフィールドなどに継承されるが、間違いなくヘビー級のボクシング界を変え男である。この有名なフレーズは、アリのトレーナーのドゥルー・バンディーニ・ブラウンによるもので、試合前によく肩を組んで「蝶のように舞い、蜂のように刺す!」と一緒に叫ぶパフォーマンスを見せていたのを私は覚えている。(写真上は、ジョー・フレイジャーと戦うアリ。下がジョー・ルイス)

01 Oct 1975, Manila, Philippines --- Muhammad Ali (r) punches Joe Frazier (l) in the head during the seventh round of their boxing match. Referee Carlos Padilla, Jr. (c) supervises this heavyweight match in Manila, Philippines, in 1975. --- Image by © Bettmann/CORBIS4p_2

アフリカ系アメリカ人である彼は、イスラム教改宗前の本名はカシアス・マーセラス・クレイ・ジュニアといい、カシアスという名前が奴隷の名前であることが改名の一つの大きな理由だという。彼はやがて黒人解放運動の旗手としなり、ベトナム戦争の徴兵を拒否したため反戦の象徴として世界の多くの人々の賛同を得た。それもあって『裸者と死者』などの作品で知られるノーマン・メイラーは、彼のことを「二十世紀の精神、マスメディアの皇子」と呼んだ。私を含むボクシングファンが集まると必ず、「史上最強ボクサーは誰だろう?」という話題になるが、私は迷うことなくジョー・ルイスモハメド・アリと答える。

ジョールイスは、ジャック・ジョンソン以来史上二人目のアフリカ系アメリカ人チャンピオンであり、「褐色の爆撃機(The Brown Bomber)」と呼ばれ11年間の王座在位中に、ボクシング全階級を通じて最多防衛記録である世界王座25連続防衛の記録は未だに破られていない。72戦69勝3敗55KOの記録は燦然と輝くが、61戦56勝5敗37KOのアリの記録も負けていない。因みにルイスは、映画「ロッキー」のモデルであるイタリア系アメリカ人のロッキー・マルシアノ(49戦49勝無敗43KO)に負けて引退した。

しかし、第一次世界大戦の影響がなければ確実に30回は王座を防衛しているであろうと言われた猛者だった。一方、アリは近年で最強と言われたマイク・タイソンをして「私はアリのスピードにはついて行けない」と言わしめたそうだ。どちらが強かったかは、時代が違うので永遠の興味として取っておきたい。ヘビー級に体重制限はない。モハメド・アリは、チャンピオン当時・・・(話が少し長くなったので、続きは明日にしましょう)